なぜ気候科学はねじ曲げられて伝えられるのか?
<気候変動の真実 科学は何を語り、何を語っていないか? (スティーブン・E・クーニン (著), 杉山 大志 (その他), 三木 俊哉 (翻訳))
■私は科学者として、科学界の実に多くの個人や組織が、情報提供ではなく説得のために気候科学を誤って伝えていることに失望している。しかし、あなたも一市民として気をつけなければならない。民主主義社会では、有権者が最終的に気候変化への対応方法を決定する。科学が言っていること(と言っていないこと)を十分知らずに下される決定、悪くするとウソの情報に基づいて下される決定が、よい結果につながることはまずない。新型コロナウイルスでもそのことをつくづく思い知らされた。気候やエネルギーでもそれは同じことだ。(第10章「誰がなぜ科学を壊したのか」より)
<「45年間で豪雨が3.8倍になった」のは本当にCO2のせいなのか?・1950年代も2010年代に匹敵する雨量、豪雨はもともと自然変動が大きい>
豪雨が起きるたびに、その原因が人類によるCO2排出増などにあるという報道が出てくる。だが、実は1950年代も、人為的な気候変動の影響を受けたとされる2010年代に匹敵する雨量を記録していた。そもそも日本平均の年降水量の「偏差」は大きい。昨今の大雨の増加は人為的な現象だと言えるのか。
2023.7.26・(杉山大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/76204