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文明と覇権から見る中国

文明史の広大な視野から解き明かす中国膨張の論理と本質!
京都大学名誉教授・中西輝政氏が座長を務めるフォーラム「文明学の世紀」メンバーによる台頭著しい隣国「中国」を前に日本人が持つべき視座

* シリーズ日本人のための文明学1 文明と覇権から見る中国 (シリーズ日本人のための文明学 1) (中西輝政 (編集))
「はじめに」より――
中国は二一世紀の世界でどのように行動し、全体としてどのような位置を占めるのか。すなわち中国と国際社会=世界との関係を大きな構図で考えるには、どうしても歴史に深く棹を差すことが必要である。しかし、そこには「中国史」という、およそ中国について考えようとすれば、向き合わなければならない大きな「壁」が立ち現われる。
なぜなら中国に限っては、歴史はその独特の宇宙観やイデオロギー性のゆえに、つねにカッコ付きでしか取扱えない厄介なテーマであるからだ。しかしまた、中国について考えるとき、「歴史」は迂回することのできない大きな壁なのである。そして、この壁を乗り越える方法の一つが、「文明」という観点――もちろんそれにも特有の「障壁」があるのは百も承知なのだが――ではないのか、というのがこのフォーラムの当初からの視座でもあった。(中略)
二〇一〇年代の中国を取り巻く情勢の激変と多分に危うさも含んだ現状への推移には目を見張るものがあった。この状況は今後も継続してゆくことは間違いなく、日本を含め世界中がいま、そのことに視野を集中させている。しかし、むしろこうした状況の中にあるがゆえに、今こそ我々は、再び世に先駆けてもう一度、歴史と文明の展望台に身を置くことで、より遠くまで見通せることを訴える必要があるのではないかと思う。

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