「データが情報化社会のオイルなら、中国は圧倒的な産油国だ」と自認し、対話アプリやキャッシュレス決済、町にあふれる監視カメラなどで情報を集約する。そこからのシステム・技術はアメリカを超えて、両国の軋轢となっている。中国AIの実際を中国特派員が内部から書いた。
* 内側から見た「AI大国」中国 アメリカとの技術覇権戦争の最前線 (朝日新書・福田 直之 (著))
街中の監視カメラや、キャッシュレス決済で懐の中、心の中までAIが支配する国で―。社会主義と市場経済という2本の手綱を操って14億人から湧き出るデータをエネルギーにしながらアメリカとテクノロジー覇権争いを展開している中国。AI技術で10年以内に世界トップに躍り出るといわれるが、起業家たちは何を目指し、市民は何を求めているのか。中国技術の強さと弱さが全てわかる、特派員による最前線報告。
目次
第1章 AI大国が突っ走る(エクサバイトの世界;新たな時代の「産油国」 ほか)
第2章 監視社会(人びとを追う無数のカメラ;向上する治安と人びとのモラル ほか)
第3章 中国技術のアキレス腱(半導体を狙い撃ち;米国を震撼させた男 ほか)
第4章 社会主義下のイノベーション(技術のリスクに対する楽観;「計画経済が大きくなる」 ほか)
第5章 ニューエコノミーの旗手たち(「スカウター」を作った男呉斐;武漢で活躍した肺炎検知AI陳寛 ほか)