<日経社説:「欧州の対中再接近が心配だ」>
この社説の要旨は次の通りです(ChatGPT )
1 中国が欧州、とりわけフランスやドイツに接近し、西側諸国の対中姿勢を分断しようとしていることへの強い警戒
2 欧州諸国が経済的利益を優先し、中国の権威主義的行動や台湾・ウクライナ問題での問題行動を黙認しかねないとの懸念
3 民主的価値を重視してきた欧州が、中国への融和姿勢によって立場を揺るがせているとの批判
4 中国の外交攻勢を前に、日本も傍観せず、欧州に働きかけて支持を広げる積極的な外交を行うべきだという提言
この社説の指摘には、私も全面的に同意します。
欧州にとって中国の軍事的脅威は、ウクライナを侵略するロシアに対する脅威と比べれば、現実感に乏しいのが実情だろう。その意味で、対中姿勢に温度差が生じるのは理解できなくもない。
ただし、英国が日本との共同軍事演習を進め、中国の軍事拡張や南シナ海での不当な行動に一定の距離感を保っている点は評価されるべきである。
一方、経済面では疑問が残る。欧州は中国に何を輸出し、どのような相互利益を見込んでいるのだろうか。現実には、中国から欧州への輸出だけが一方的に拡大し、貿易摩擦を深めている構図が目立つ。
フィナンシャル・タイムズでも指摘されている通り、中国が「売るが、買わない」姿勢を改めない限り、欧州との安定した経済関係は成り立たない。
また、別の日経報道が伝えるように、欧州は表向きの対中融和とは裏腹に、実務レベルでは強権的な中国への警戒を強め、「静かな中国離れ」を進めつつあるのも事実である。中国の威圧的な外交姿勢が、むしろ逆効果を生んでいる側面も見逃せない。
日本の対欧州外交についても課題は多い。決して傍観しているわけではないにせよ、首相や外相の動きが鈍く、主張が十分に伝わっているとは言い難い。国会日程に過度に縛られる非効率な慣行は、早急に見直す必要があるだろう。
この点については、政府のみならず、国益を踏まえた柔軟な国会運営に協力しない野党の責任も重い。
中国の積極外交に後れを取らぬよう、日本は欧州と「民主的価値」と「経済安全保障」を軸に、より戦略的な外交を展開すべき時に来ている。
<日経社説:「欧州の対中再接近が心配だ」>・12月10日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK0839Y0Y5A201C2000000/
<「世界に中国製品は売っても、買うものは何もない」…中国経済界の思い込みが起こす世界経済の縮小、保護主義の大きな問題点>
2025年11月26日付フィナンシャル・タイムズで、ロビン・ハーディングが中国は欧州から買いたいものがないという、それでは中国との貿易は不可能だ、解決策は中国側にしかない、それができなければ欧州は難しい選択に迫られると述べている。・・・2025年12月17日・岡崎研究所・https://wedge.ismedia.jp/articles/-/39838
<欧州が始めた静かな「中国離れ」 日中対立、逆効果の威圧>
台湾有事をめぐる高市早苗首相の国会答弁に端を発する日中対立が国際社会に飛び火した。中国は「日本の軍国主義」を指弾し、欧州諸国にも中国の立場を支持するよう呼びかける。日中対立に巻き込まれたくない欧州は沈黙を守るものの、強権体制への警戒感が広がり、静かな中国離れにつながりつつある。・・・12月17日・欧州駐在編集委員 赤川省吾・https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD15BFJ0V11C25A2000000/