<朝日社説:「科学技術計画 現場に活力を取り戻せ」>
この社説の要旨は次の通りです(ChatGPT)
1 過度な「選択と集中」や競争的資金への依存が研究現場を疲弊させた:研究者は資金・ポスト獲得に追われ、自由で基礎的な研究が困難になっている。
2 研究の成果を急ぐ姿勢が多様性と革新性を損なっている:政府主導で重点領域に偏ることで、将来の飛躍の芽を摘むおそれがある。
3 大学や研究所への基盤的資金の充実が必要:十分な運営資金を確保し、研究者が安定して研究に集中できる環境を整えるべき。
4 魅力ある研究環境の整備が人材確保の鍵:若手や外国人研究者が集まるには、多様性を支える自由で挑戦的な環境が不可欠。
理想論としては、朝日社説の主張はその通りです。しかし、現実は厳しい状況にあります。
例えば、「大学や研究所への基盤的資金の充実が必要」といっても、その財源をどのように確保するのでしょうか。政治の現場、特に野党は減税を主張する傾向が強く、科学技術への長期的な投資はあまり重視されていないように見受けられます。
また、「若手や外国人研究者を集めるには多様性を支える自由で挑戦的な環境が不可欠」という指摘も理解はできますが、実際には研究者の待遇の向上こそが鍵でしょう。日本の大学や研究機関は、欧米に比べて独自の財源が乏しく、結果として研究者の処遇改善が進みにくい構造です。したがって、国の財政支援は引き続き不可欠ですが、ここでも課題は財源です。社会保障費が膨らむ中で、どのような予算配分を行うかという現実的な議論が求められます。
極端な例を挙げるなら、社会福祉予算の一部を削減して科学技術予算に振り向けるという選択肢もあります。しかし、そのような提案が果たして国民的理解を得られるのか、また、リベラル系メディアがそのような政策を支持するのかは疑問です。
なお、あえて述べれば、軍事産業は歴史的に科学技術の発展に大きく寄与してきたことは事実です。米国のDARPA(国防高等研究計画局)などは、インターネットやGPSといった画期的な技術を生み出してきました。日本もまた、防衛技術や軍事分野での研究を、民生技術との接点を模索しながら活用する方向性をもっと積極的に議論すべきです。「軍事産業」と聞いてアレルギー反応を示すのではなく、現実を直視した政策議論が求められているのではないでしょうか。
<参考文献>
文部科学省「科学技術・イノベーション白書」
OECD「Education at a Glance」(大学への公的支出比較)
米国 DARPA に関する報道や資料(科学技術開発の具体例として)
<朝日社説:「科学技術計画 現場に活力を取り戻せ」>・9月26日
https://www.asahi.com/articles/DA3S16310216.html?iref=pc_rensai_long_16_article