<朝日社説:「社会保障政策 即応力も長期の展望も」>
朝日新聞の社説「社会保障政策 即応力も長期の展望も」は、方向性としては理解できますが、具体的な提案や制度設計に関する踏み込みが不十分であり、社説としての役割を十分に果たしているとは言えません。
「短期的な課題で即応力を発揮し、長期的な改革へと導く。しかも少数与党下で、野党と連携しながら。比較第1党のリーダーに課された使命は重い。」
これは極めて当然の認識であり、特段目新しさは感じられません。むしろ、新聞社としては、このような一般論に終始せず、より具体的で建設的な提案を行うべきです。
繰り返しますが、各新聞社は単なる要求や批判に終始するのではなく、社会保障改革の必要性を国民に対して率直に訴える役割を果たすべきです。すなわち、「保障の縮小」か「消費税などの負担増」かという避けて通れない選択を、もっと真正面から提示することが必要です。
安易に物価対策として消費税の減税などを訴える声もありますが、これは社会保障制度の持続性を損ねるものであり、現実的ではありません。そのことをマスメディアは明確に説明し、長期的な財源の議論から逃げずに、読者・有権者に問いかけるべきです。
<他紙社説との比較と補足意見>
● 産経新聞(9月30日):「給付範囲の見直し論じよ」
産経は、年金・医療・介護の給付水準や対象範囲を見直す必要性を明確に指摘しており、「現実を直視した制度設計」を求めています。これは、朝日のような抽象的表現よりも一歩踏み込んだ提案であり、参考になる視点です。
● 読売新聞(10月1日):「負担増含めて具体案を論じよ」
読売はさらに踏み込み、「具体的な負担増の議論」こそが政治家に求められていると指摘しています。社会保障改革は、給付と負担のバランスなしには成り立たず、このような観点からの社説こそ、国民の判断を促す役割を果たします。
< 総括>
朝日新聞をはじめとする主要メディアには、「反対」や「批判」にとどまらず、国民が自ら選択するための材料を提供する責任があります。社会保障制度が危機的状況にある今こそ、「増税か給付削減か」「高齢者優遇か世代間公平か」といった本質的な選択肢を率直に提示する報道姿勢が求められています。
<朝日社説:「社会保障政策 即応力も長期の展望も」>・9月30日
https://www.asahi.com/articles/DA3S16313130.html?iref=pc_rensai_long_16_article
<産経主張:「総裁選と社会保障 給付範囲の見直し論じよ」>・2025/9/30
https://www.sankei.com/article/20250930-RE6MNZQZINNIXDO57OKOMBPKMQ/
<読売社説:「社会保障改革 負担増含めて具体案を論じよ」>・2025/10/01
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20251001-OYT1T50003/