「福祉というのは優れた互助組織であるけれど、生活保護に関しては、働かずにもらえる手当と、働いて得られる賃金に明らかな差がなければ、絶対に機能しない。」
私もそう考えます。
日本の生活保護費の水準、高すぎるのか,低すぎるのか???
* AI時代の新・ベーシックインカム論 (光文社新書・井上智洋 (著))
ベーシックインカム(Basic Income,BI)とは、「政府が、すべての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する」制度を指す。
近年、特にヨーロッパ諸国を中心にBI導入をめぐる動きはかつてないほど盛んになっている。
主な理由は二つある。
一つは、格差の拡大や貧困の増大を改善する手段としての期待、もう一つは、人工知能(AI)やロボットが多くの人の雇用を奪うようになるのではないかという予想である。日本での導入の可能性はどうか。財源はどうするのか。現行の貨幣制度の欠陥とは何か。AI時代になぜBIが必要なのか。最大の障壁となるものは何か。そして未来の社会とは――。AIと経済学の関係を研究するパイオニアが、BIに関する様々な問題を深く掘り下げて考察する刺激的な一冊。
<「市民金」に揺れるドイツ:労働意欲を削ぐ福祉改革の行方>
ドイツの景気が急激に落ち込んでいる。主原因は高すぎるエネルギー価格、高すぎる税金、肥大した官僚主義。それに加えて、足りない労働力も挙げられているが、これはちょっとクエスチョン・マークだ。
21年12月にできた社民党政権は、その翌年から「市民金=Bürgergeld」という新しい社会保障制度の制定に取り組み、早くも23年1月から支給を始めた。貧しい人は誰でも補助を受けられる、いわゆるベーシック・インカムの導入である。
この「市民金」の何が凄いかというと、貧乏な人が申請すれば、ほぼ漏れなく貰えること。当然、貧乏の原因はさまざまで、病弱だとか、あるいは親の介護などで働けずに貧乏になってしまった人もいれば、働けるけれど働かずに貧乏になった人もいる。後者のケースは低賃金所得者が多く、しかも、たとえ働いても、その稼ぎが「市民金」とほとんど差がないから、働く気をなくす。これは、その人が怠け者というより、制度が悪いとも言える。
福祉というのは優れた互助組織であるけれど、生活保護に関しては、働かずにもらえる手当と、働いて得られる賃金に明らかな差がなければ、絶対に機能しない。
2024.08.16・川口 マーン 惠美
https://agora-web.jp/archives/240815013642.html