ヒンドゥー至上主義、これこそが「インドの魂であり国家の基盤」???
* よくわかるヒンドゥー教 (角川ソフィア文庫・瓜生 中 (著))
インド16憶人の国民的宗教、その思想の基本がわかる入門書
ブッダ(釈迦)はインドで生まれ、仏教はインドから世界に広まった。日本の仏教や仏像、生活に息づく風土風習をみわたせば、インドやヒンドゥーに起源をもつであろう事柄が実に多い。一方、聖典「ヴェーダ」や「マヌ法典」の教義、カースト制度やガンジス信仰、独特な祭祀や儀礼がいまなお色濃く残る世界は、外部からは伺いしれない混沌と魅惑と歴史文化を秘めている。わたしたちにとって遠くて近い「インド教」ともいうべき特異な思想文化の根本を、基本の「き」から徹底解説する、格好の入門書。
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「ヒンドゥトバ」とは何か
インドは1000年もの間、イスラム教徒やムガール帝国、次いで大英帝国に支配され、ヒンドゥー教徒は従属を強いられてきた。だがモディ率いるBJP政権にとってのインドはヒンドゥー教徒の国だ。
それは「ヒンドゥトバ(ヒンドゥー至上主義)」と呼ばれる思想で、ヒンドゥー教こそインド文化と社会の基盤と見なす。20世紀前半の独立闘争の時期に芽生えた思想だが、BJPは1980年代以降、このヒンドゥー至上主義を掲げ、これこそが「インドの魂であり国家の基盤」だと位置付けている。
2023年9月19日・グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/09/post-102657.php