* 株高不況(藤代 宏一 (著), (イラスト, 編集, 写真, 翻訳, 寄稿, その他, 読み手, 監修))
コロナ収束以降、日経平均株価は3~4万円台と高値をキープし、一時、バブル期に記録した最高値も更新した。2025年になってトランプ関税に振り回されつつも、しっかり持ち直してもいる。その一方で、足元の物価高もあって、庶民の生活は厳しいまま。なぜ、株価は好調なのに庶民はその恩恵を感じられないのか。国民全体が好景気に沸いたバブル期と何かが違うのか。現在の「株高不況」の真因と、生活者ができるその対応策を、気鋭のエコノミストが鋭く、かつ、わかりやすく解説する。
<「株高不況」の本質はグローバリゼーション>
日経平均は史上最高値を更新し続けている。バブルだという声もあるが、1990年を基準にすると、S&P500は18倍。日経平均は出遅れているというのが投資家の一般的な見方である。本書もいろいろな数字をあげて、日本株はまだ割安だという。
ところが実質成長率は0.7%、実質賃金はマイナス1.3%とさえない。不況とはいわないまでも、株高の中で個人が貧しくなっている状況は否定できない。これは2010年代から続く傾向だが、何が原因なのか?
本書の答は平凡だが明快である。「海外で稼いだ利益はGDPに入らない」ということだ。日本の大企業は縮小する国内市場に見切りをつけ、産業空洞化が起こった。1990年には4%だった日本企業の海外生産比率は、今では23%に増え、しかも円安で海外法人の利益は(円ベースで)増えるので、連結経常利益は増える・・・2025年09月15日・https://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/52097930.html