<朝日社説:「ハン氏に文学賞 人間性の本質問い続け」>
お祝いの言葉のない社説。淡々とした解説記事。
アマゾンで検索してみると日本語版は少ない。果たして日本人は何処までこの小説家の出版物を読んでいるのであろうか。朝日新聞社の論説員は当然,何冊も読んでいるのだと思いますが。
<朝日社説:「ハン氏に文学賞 人間性の本質問い続け」>・10月13日
https://www.asahi.com/articles/DA3S16057774.html?iref=pc_rensai_long_16_article
<毎日社説:「ハン・ガン氏に文学賞 弱者の声通し不条理問う」>・2024/10/18
https://mainichi.jp/articles/20241018/ddm/005/070/079000c
* 別れを告げない (エクス・リブリス・ハン・ガン (著), 斎藤真理子 (翻訳))
国際ブッカー賞受賞作家、待望の最新長篇
作家のキョンハは、虐殺に関する小説を執筆中に、何かを暗示するような悪夢を見るようになる。ドキュメンタリー映画作家だった友人のインソンに相談し、短編映画の制作を約束した。
済州島出身のインソンは10代の頃、毎晩悪夢にうなされる母の姿に憎しみを募らせたが、済州島4・3事件を生き延びた事実を母から聞き、憎しみは消えていった。後にインソンは島を出て働くが、認知症が進む母の介護のため島に戻り、看病の末に看取った。キョンハと映画制作の約束をしたのは葬儀の時だ。それから4年が過ぎても制作は進まず、私生活では家族や職を失い、遺書も書いていたキョンハのもとへ、インソンから「すぐ来て」とメールが届く。病院で激痛に耐えて治療を受けていたインソンはキョンハに、済州島の家に行って鳥を助けてと頼む。大雪の中、辿りついた家に幻のように現れたインソン。キョンハは彼女が4年間ここで何をしていたかを知る。インソンの母が命ある限り追い求めた真実への情熱も……
いま生きる力を取り戻そうとする女性同士が、歴史に埋もれた人々の激烈な記憶と痛みを受け止め、未来へつなぐ再生の物語。フランスのメディシス賞、エミール・ギメ アジア文学賞受賞作。
* 菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)(ハン・ガン (著), 川口恵子 (編集), きむ ふな (翻訳))
「新しい韓国文学シリーズ」第1作としてお届けするのは、韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞した女性作家、ハン・ガンの『菜食主義者』。韓国国内では、「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た、ハン・ガンの代表作です。
ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)―