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「いじめ対応の限界」

「いじめの被害者と加害者は入れ替わる」「教師が現場を押さえるのは容易ではない」「子どもは被害を正直には話さない」。いじめの被害者、加害者、教師、保護者……三者調査からわかったきた本当の問題とは――。気鋭の教育社会学者が明らかにした「いじめ対応」の実態。

* いじめ対応の限界(内田 良 (著, 編集)ほか)
本書からわかること
最大の問題は、いじめの「わからない」ことが知られていない
いまも昔も、学校現場はいじめ対応に苦しんでいます。いじめの被害と加害には、三重の見えにくさがあるからです。一つ目は、いじめの被害者と加害者が入れ替わること。数日前まで被害者の立場にあった子供が、気がつけば加害者の側にまわっています。二つ目は、明確に加害と被害が分けられるとしても、隠れて行われるいじめを教師側がそれを発見し、そこで加害と被害を区分することは簡単なことではないこと。そして三つ目は、子供はいじめ被害の事実を表立って語れないことです。
だから、いじめはきわめて見えにくいというところから、私たちは話を始めなければなりません。何が起きているかさえ、よくわからない。いじめは、現場に下りるほど、「わからない」ことだらけなのです。
そして「わからない」ことの追究を教師に任せるには限界があり、だからこそ、専門家の介入が必要です。「わからない」ことは、ただひたすらに教師の業務負担を増やすだけです。そして最大の問題とは、「『わからない』ことが知られていないこと」なのです。

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