ホモセクシャルの史料は、最古の文明メソポタミアに存在する。以降、5000年にわたって、古代ギリシア・ローマの饗宴で、イスラム帝国の宮殿で、中華帝国の庭園で、欧州の王宮や修道院で、その美学・官能・テクニック・人間模様が華麗に繰り広げてきた記録は、連綿と存在している。
男たちは、どのように愛を交わしてきたのか? そして男たちは、いかに歴史を創ってきたのか? 本書は、膨大な史料・図版をもとに、10年の歳月をかけてまとめられた、史上初の“図説・ホモセクシャルの世界史”である。
* 【図説】ホモセクシャルの世界史(松原 國師 (著))
人類は、その誕生とともに、男性どうし(そして女性どうし)でも愛し合ってきた。これは疑いようのない事実である。そして、アフリカから壮大なる旅に出発した人類が、地球のさまざまな地域に進出していくとともに、男性どうしの愛は世界に広がっていったのである。
シュメールや古代エジプトをはじめとしたすべての古代文明に、私たちはその痕跡を見つけることができる。すべての民族や国家、そしてすべての時代において、ホモセクシャルの文化は、時に公然と、古代ギリシアや日本の徳川時代のように華麗に、時にひっそりと、中世ヨーロッパや戦後アメリカのマッカーシズムの時代のように過酷な弾圧のなかで、延々と紡がれてきた。
本書は、その“世界史としてのホモセクシャルの歴史”を、多数の図像とともに一冊にまとめたものである。(……)「世界史」という壮大な構想のために、本書の完成には当初の想定をはるかに超え、一〇年という歳月がかかってしまった。参考文献一覧をご覧いただければ、いかに膨大な資料が必要であったかをご理解いただけると思う。