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いつの間にかボロボロ 算数・数学教育を再建せよ

* グローカルな社会・時代における算数数学教育(馬場卓也 (著)ほか)
本書のテーマは「グローバル化の時代における数学教育を、学校教育およびその取り巻く環境の中で実際に起きていることから再検討すること」 である。「グローバル化」と「数学教育」という言葉に注目すると、グローバル化は世界中に広がっている状態・変化を指し、ある意味での普遍性を包含している。数学は最も普遍的な学問と言われている。両者はシノニム(類義語)のように当然結びついているが、そこに教育が介在することで、単なる普遍性を希求するのではない、教育ならではの子どもの成長過程に寄り添う必要性が見えてくる。

<いつの間にかボロボロ 算数・数学教育を再建せよ>
 昔から、日本の算数・数学教育は成功しているが、米国は失敗しており、分厚い中間層が形成されなかったと言われてきた。だが、21世紀に入って四半世紀になろうという現在、日米で算数・数学の進度が逆転しつつある。
 まず、日本の場合は「ゆとり教育」の結果、算数・数学のカリキュラムが易しくなってしまっている。反対に、米国の場合は、1990年代以降、全国の小中高のカリキュラムに緩やかな統一(「スタンダート」という)を導入するとともに、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4分野を強化するSTEM教育の運動が進められた。
 こう申し上げると、「ちょっと待って欲しい、日本での「ゆとり教育」は猛批判を受けて元に戻されたはずだ」という声が上がるであろう。だが、実際は違う。完全に戻っていないのだ。その点を含めて、現在の日本の算数・数学教育は「いつの間にかボロボロ」になっている。・・・ 2023年10月27日・冷泉彰彦 (作家・ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/31888

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