* 東京一極集中が日本を救う (ディスカヴァー携書・市川 宏雄 (著))
「東京一極集中は悪であり、地方との格差をなんとしても是正すべきだ」という意見は、日本人に根強い。だが、本当にそれだけでいいのだろうか。
世界は今、都市間競争の時代に突入した。この地球上で競争しているのは日本やアメリカのような「国」同士ではない。ロンドン、ニューヨーク、パリといった「大都市」こそが、今や競争の新たな「単位」なのだ。
大都市であるほど発展する性格をもつ第三次産業は、ヒト・モノ・カネの集積によりその競争力を増す。この動かしがたい経済合理性の結果、世界の多くの国で、いま大都市への一極集中が進んでいる。この事実を無視して、一極集中是正を金科玉条として東京の集積を否定すると、結局、東京の国際競争力の失速を招く結果となる。
もし、東京が競争力を失うと、その冨を得るのは、実は海外の諸都市であって地方ではない。東京の失速は、結果的に地方に分配する原資がなくなるという受け入れがたい未来が待っているだけである。
東京が世界一の都市にならなければ、日本に未来はない。東京が沈むと、地方が沈み、日本が沈む。
都市政策の世界的第一人者が、東京、そして日本の未来を「一極集中」の是非という長年の課題に踏み込んで、その真実を語った議論沸騰の書、ついに誕生!
<東京23区「人口流出」の実態とは? 「一極集中の是正」報道のウソ>
<テレワークの進展によって郊外に転居した人がいるのは確かだろうが、そうした「前向き」な理由での転出はむしろ少数派と見るべきだ>
東京23区が転出超過になったことが話題となっている。テレワークが普及し、都心から人が出ていく動きが加速しているとの解釈が一般的だが、統計をより細かく見ると、そうではない可能性が高い。筆者はかねてからテレワークを推奨してきた立場だが、願望が先走ってしまうと実態を見誤る。
総務省が発表した2021年の住民基本台帳の人口移動報告によると、東京23区の転出超過は1万4828人となり、現在の統計になってから初めて転出が転入を上回った。各種メディアには「東京一極集中の是正が進む」「テレワークの進展で田舎暮らしが現実に」といった見出しが並んだが、これは実態を表していない。・・・2022年03月08日・加谷珪一
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2022/03/post-176.php