米中のみならず同盟各国の規制も強化されている経済安全保障。日本企業はその網の目をいかにかいくぐるべきか ? 日本が直面しているリスクを業務分野ごとにずばり解説します。
* 経営戦略と経済安保リスク(國分 俊史 (著))
米国政府は、AIや自動運転技術などのハイテク技術の中国への流出を最小化し、中国の成長スピードを遅らせることこそが国家安全保障政策の要と位置付け、同盟国の企業の意識改革まで念頭に置いた制度設計を検討しています。防衛産業に関係ないからといってのんびり構えてはいられない時代になったのです。政府は、企業に経済安全保障担当者設置を要望しています。
米国ならびに米国の同盟国と円滑に経済関係を維持していくためには、経済安全保障規制の網に準じた経営体制を構築することが愁眉の急となっています。この数年で日本企業が経営リスクとして位置づけなければならない案件が急増しているにもかかわらず、多くの人はまだ気がついていません。戦後70年以上にわたって軍事、安全保障から目を背けてきた経済界が、意識改革を迫られているのです。
本書は、『エコノミック・ステイトクラフト』(2020年刊)で、米国の安全保障規制を総合的に解説した著者による、新しい経営リスクの解説書。経済安全保障を、戦略、研究開発、組織風土文化、経営管理、財務管理、リスクマネジメント、ガバナンス、人事管理、サプライチェーン、情報システムという経営機能の視点から論点設定します。各章を読むと、なぜこの章にこの論点が記載されているのか、と驚くかもしれません。
【目次】
第1章 経営戦略の目標――冷戦の長期化
第2章 研究開発の変身――社会課題を引き起こす
第3章 組織風土文化の改革――民主主義と権威主義に向き合う経営
第4章 経営管理の進化――30年経営・チャイナサイクル・脱GDP
第5章 財務戦略の役割――ルールづくりのリーダーに
第6章 リスクマネジメント強化――インテリジェンス機関との連携
第7章 ガバナンスの狙い――社内デカップリングと経済安全保障委員会
第8章 人事管理の深化――新たなリスクを理解する人材の育成
第9章 サプライチェーンの罠――人権・気候変動・マネジメント強化
第10章 情報システム対策――信頼獲得の闘い